小5男子の体力が過去最低に 運動不足で“動く子・動かない子”の二極化顕著に

2019年12月29日のダイエットニュース

 3大会連続でオリンピックに出場、陸上男子400mの日本記録保持者を持つ高野進・東海大学体育学部教授は、後進の指導にあたる傍ら、NPO法人「日本ランニング振興機構」の理事長も勤め、全国で子どもたちに走る楽しさを伝えてきた。

 そんな高野氏は「全国の小学校を回ってアンケートを取ると、2~3割が走るのが嫌いと回答する。しかし、“速く走りたいか?”という質問には、99%の子が“はい”と回答する。さらに、“いつから嫌いになったか?”と聞くと、大体2、3年生から。だから僕はいつも“かけっこの神様がいて、それは段々いなくなっちゃうんだよ”と話すようにしている。“いつまでもいてもらうためには興味を持って、楽しいと思っていないといけない”と。実は小学生の日本チャンピオンになった子がそのまま日本記録を出し続けるかというと、そうではない。むしろその逆で、小学校時代は普通に遊んでいた子たちが中学、そして高校で目覚めるというケースが多い。やはり小学校の間にベースができるので、そのあいだに外に出て運動しないと、その後の人生に影響が出てくる」と話す。

 「スポーツ協会では1日の中で概ね1時間くらいは外で運動しましょう、体育の時間、休み時間を含めて1時間程度は日を浴びて外で運動しましょうという提案はしているが、時間・空間・仲間という3つの場がない。そんな中で、むしろ都心部の家庭の方が積極的にスポーツ教室に通わせる傾向もある。あるいは福岡のある小学校では裸足で校庭を走ることを毎朝、数十年続けているが、その小学校の学力テスト、体力テストは上の方だ。地域や小学校によってすごく差があり、二極化していると感じる。そこで、体育ではない運動の時間を義務教育の中に設けてほしい。たとえば1時限目の授業が始まる前に“0時限授業”として、30~40分くらい時間をとって、そこで自由に運動や遊びをしてもらう。これは成績とは関係なく、評価もしない。そして先生の負担も考え、専門的な指導ができる、健康運動や楽しい運動が指導できる専門家を積極的に採用するのはどうか」。


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